「一人前になってからものを言う」では一生何も言えない

僕が会社員の時の諸先輩方のお話。
尊敬すべき諸先輩方ばかりだったけど(これはマジ)、腑に落ちないと思うこともありました。
それは…、

「一人前になったらものを言う」

という姿勢です。

「一人前になったらものを言う」とは、会社や上司に言いたいことがあっても、自分が一人前でない以上は何も言わないということ。
すなわち、一人前になるまでは会社や上司のやり方を受け入れていく。言いたいことが言えるようになるために、早く一人前になるのだ!
そんな感じの意味です。

その当時は、その考え方がすごくカッコよく見えました。
まるで向上心がスーツや作業服を着ているように思えるくらい、キラキラしてました。

僕もそうですが、体育会系の出身者はその考え方を受け入れやすい土壌にあると思います。
(ただし僕は体育会系クラブにいた文化系の人間でしたけど)
学年が上であるだけで地位が上になる。
3年神様、2年平民、1年奴隷。
そんな言葉もあるくらいに、年長者が優遇されるタテ社会。
言ってみれば一人前になるとは最上級生になること。最上級生になるまで何も言わずに我慢すればいいだけですから、その期間は指折り数えられます。その間だけ我慢すればいいのです(とは言っても簡単なことではありませんが)。

言わばその間に従順さを身につけているわけです。人から可愛がれる要素の人です。
ですが、従順さを持っていることは大切なことですが、いつまでも従順一本では生きていけません。
そのうち自分自身がストレスでパンクしてしまうこともありますし、上のやり方だけでやっていては会社自体がパンクしてしまう可能性もあります。

だから若手であっても意見することは大切なことだと言えますし、意見することで自分を守る自己防衛にもなります。
だけど意見をすることには抵抗があります。

若輩者の自分が意見をしてもいいのだろうか?
意見して怒られないだろうか?

こんなことを考えてしまいます。
意見をすること=反抗。
こんな風に刷り込まれている人も多いと思うんだよなあ。だから勇気が必要になる。

だけどね。

あなたが意見をしようということが、相手のためにもなることであればいいと思うのですよ。
会社であれば会社を良くするため。
チームであればより良いチームを作るため。
夫婦間やカップル、友人間であればより仲良くなるため。
お互いに利益を共有できる意見であれば、ただのわがままにはならないのですから。

そして意見するときには意見の仕方にも工夫があります。
まずは頭ごなしに言わないこと。攻撃的に意見を伝えるのはやめておきましょう。
目上の人(恐妻家の人は奥さんも含む)に対しては頭ごなしになんて言えないと思っておられるでしょうが、口調が優しくても頭ごなしに言っているような時があるものです。
慇懃無礼という言葉もあるように、丁寧に伝えればいいという話ではありません。

コミュニケーションのスキルに『アサーション』というスキルがあります。
このスキルは「断る」シーンで紹介されることの多いスキルですが、自己主張するためのスキルと理解してください。
(「断る」ことも自己主張ですから。)

『アサーション』の流れを説明するとこうなります。
・自分の状態を伝える(現在の状況や自分自身の気持ち)
・相談する
・意見を主張しながらもお互いに歩み寄る案を出す(歩み寄ることで頭ごなしではなくなる)
(この時に相手のことを話すのではなく自分のことを話すようにしましょう)

例えば、
「今すぐにお客さんのところに行って、この書類を届けてくれないか?」
「申し訳ありません。手が離せなくて今すぐは行けません。1時間後なら行けそうなのですが、それではいけませんか?」
というような感じで、行かないわけではないんですよと言いながら、今すぐは行けないということも主張しています。
これがアサーションなのです。

これの応用で、
・上司の出した案と並行して自分の案も進める
・無理な要求に対して出来る範囲で応えられることを回答する
なんて使い方をすると、意見しやすくなりますし、気後れなく意見できると思いますよ。

あなたも従順なままではなく、NO!も意見も言えるようになっていきませんか?
そうすることであなただけでなく、周りの環境も変わっていきますよ。
それが進歩するということなのです。

これは進歩じゃなくて進化。
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