『聖の青春』はいろんな愛が詰まった作品でした
観たい観たいと公開前から思っていた映画なのですが、願いがかなって驚いています。
スピリチュアル系のことは信じていないのですが、こういう時に信じちゃう人もいるんだろうなと実感します。
それくらいうれしいことです。
私自身、原作本を読んでいたので比較しながら観てしまうのかなと思っていたのですが、素直に楽しむことができました。
純粋に村山聖という棋士が残した足跡をたどることができたように思います。
幼少期に腎臓ネフローゼを発症し、以降はその病と闘いながらの生活を余儀なくされます。
そんな時に入院中に父からプレゼントされた将棋盤をきっかけに将棋にのめり込んでいくようになります。
そして棋士の森信雄先生に弟子入りするために故郷の広島から大阪へ出てきて、西の怪童と称されるまでに強くなっていきます。
その村山の前に立ちはだかったのが、時の人羽生善治。
将棋のタイトル全てを獲得し(七冠)、彼の前に大きく立ちはだかる存在でした。
そしてライバル心と憧れの気持ちが入り混じった状態で羽生に挑む村山。
自分の命に限りがあることを知りながら…。
というあらすじですが、私がこの映画で一番表現できていたのが村山聖の魅力だと思うんです。
シャイで積極的に人と関わるタイプでもない彼は、人の輪に入るのに苦労するタイプの人間です。
だけど一旦中に入れば少年のようにストレートに感情をぶつけ、軋轢を生むこともあるけれどみんなから愛される存在になっていく。そんなタイプの人間だと思うんです。
自由奔放に生きていながら他人に愛される。そこに村山聖の魅力があるように思うのです。
そして羽生に対してみせるライバル心を超える憧れ。
「羽生さんを倒して名人になるために東京へ行く」というライバル心をみせるのですが、「羽生さんに勝つことは20勝分の価値がある」と相手を認めている部分もあり、このまるで少年の心の中のように相反する部分がうまく表現できていると思います。
あんまり詳しいことを書いちゃうとネタバレになっちゃうので書きませんが(いや書く技量がないと言った方が正しい)
是非とも観ていただきたい映画ですね。
両親からの愛。
師匠からの愛。
同士からの愛。
ライバルからの愛。
将棋の神様からの愛。
いろんな愛を感じられる映画でした。
大きく心を揺さぶるというよりは、小さな感動がいくつも散りばめられたような映画でした。号泣というよりもいつの間にか涙が溢れていると言ったところでしょうか。
(実際私はそうでした…)
オススメです。