ディズニー・USJで学んだ 現場を強くするリーダーの原理原則/今井千尋
今回このブログで取り上げる本はこの本です。
『ディズニー・USJで学んだ 現場を強くするリーダーの原理原則』です。
疑われたらかなわんので先に言っておきますが、著者の今井千尋さんと私は友人だったりします。
彼とはNLPトレーナーズトレーニングの同期で、その時はイギリスのブライトンで共に学びました。
すごい熱意のある人で、講義の内容をこれでもかと言うくらいに熱心にメモをしていた姿をよく覚えています。
(彼は書くことで記憶に定着させるんだと言っていたかな)
左が今井千尋さん。右が私。私がまだ太ってる時ですね(笑)。
こんな関係があるので「癒着じゃねえの?」「だから良く言ってんじゃねえの?」「あんたには失望したよ!」なんて言われる方もおられるかもしれませんが、私は癒着などで記事は書きません。
たとえ友人であってもつまらなければ記事にしません。
そこだけは曲げずにやってます。嘘つきたくないし。
夢は願うものではなく、叶えるものなんだ
それでは簡単に彼の経歴を少し。
彼、今井千尋さんは立教大学卒業後にオリエンタルランド、わかりやすく言うとディズニーランドに入社し、少年時代からの夢だったジャングルクルーズの船長となります。
「夢は願うものではなく、叶えるものなんだ」とはディズニーの哲学として知られていますが、彼は実際にそれを体現している人なんですよ。リアルディズニーと言ってもいいと思います。
その後はディズニーユニバーシティで数千人のキャストに対して導入研修を担当し、人材育成業務に従事。
オリエンタルランド退社後は飲食業を経て、USJに入社。
こちらでもキャストなどの人材育成に従事し、現在のUSJの礎を築いたと言っても過言ではない華厳の滝な活躍をされていました。
現在は一部上場企業をはじめとする企業などで研修講師として活躍する、人材育成のスペシャリストとして活躍。いや大活躍と言ってもいいでしょう。
聞いた話では上海のディズニーランドでも人材育成に取り組んでいたとか。グローバルにも活躍されています。
「あんたホンマにこんなすごい人と友だちなん?」「勝手に言うてるだけちゃうん?」
なんてことを言われてしまいそうですが、私はすごい人と知り合ったなあと感心するばかりです。
管理職のお悩みあるある
そしてこの本の内容ですが、彼が企業向けに行っている研修での風景が浮かんでくるような内容になっています。
現場のリーダーが抱えている(抱える)であろうお悩みに対して、原理原則を紹介する形式となっています。
そのお悩みは質問形式で列挙されており、それに対して今井氏が回答していくので、非常に理解しやすい内容となっています。
これらの質問を見ていくと、研修ではこんな質問が飛んできているんだろうなと想像します。
そして自分自身の経験に照らし合わせると、確かにこんな悩みを抱えてたなあなんてことを思い出したりします。
つまり管理職となった人のお悩みあるあるような感じで、必ず直面するお悩みなのではないでしょうか。
お客様を喜ばせるのはどの業界にいても必要
そもそもリーダーとして現場を強くする。現場の意識を高め、スタッフの成長を促すということの目的ってなんなんでしょうね。
「会社をよくするため」
ノンノン。
「会社を強くするため」
ノンノン。
答えは「お客様にハピネスを提供する」ため。これがいちばんの目的なはずなんですよ。
顧客満足などの言葉で言い換えることができますが、どんなビジネスであれこのことは不変のはずなんです。
サービスや商品を提供する以上お客様がいないことには成り立たないのですから。
確かにディズニーランドやUSJで人材育成をしてきた人と聞くと、特殊な業界だからできたことだろうし、必要なことだったんだろうと思ってしまいがちなのですが、基本的には同じはずなんです。
なのでその意識を浸透させることがリーダーの役目なのではないでしょうか。社訓や社是も大切なのかもしれませんが、これが一番なんだと私は思います。
だけどどうしても売上や営業ノルマなどを達成することを重視してしまい、そこに意識が向かなくなってしまう。
そんな組織って多いんじゃないかなと、私は感じることがあります。
管理職がまるで監視職となっているように。
働いている人すべてが幸せだとお客様も幸せになる
スタッフはそれぞれに考えることをしています。
仕事に対して熱意を持っている者もいれば、そうでない者も。
そして熱意を持っている者も、自分の中で「こうするのが一番だ」という考え方をそれぞれが持っていたりします。
リーダーの役割というのは、まずスタッフそれぞれの考えていることを引き出し、それを集約することでいかにお客様の喜びへと繋げられるようにするか考えて働きかけるということだと思います。
私がこの本を読んで学んだのは、まずコミュニケーションをしっかりととること。
そしてそのコミュニケーションでは語りかけるよりも相手の本心を聞くことに注力すること。
これに尽きるんじゃないかと思うのですよ。
この辺りはNLPのスキルを用いておられる部分もあり、私にもスッと入ってきました。
本心を聞くことができると相手を尊重もできるし、個の力から集団の力へと変化もできます。
組織運営は個人競技というよりも集団競技。
突出した個人の力量があってもチーム内で機能しないのであれば意味がありません。
時にはチームを引っ張り、時にはチームをフォローする。そのためには個人個人がどのような思いで仕事に取り組んでいるのか?それを理解する必要があります。
やり方ではなく在り方なんだよ
本の中にも出てきますが、ディズニーランドやUSJには「見学させてください」という同業者や接客業の方も来られるみたいなんです。
なかなか受け入れられることではないと思うのですが、そういった見学者をどんどんと受け入れているのが珍しいところかなとも思います。
だけどこれは自信があるからこそできること。
それはやり方を真似したとしても、所詮付け焼き刃だということをわかっているからなのです。
ディスニーランドなどでは声かけなどをマニュアル化してそれを遵守するというやり方ではなく、ゲスト全てにハピネスを提供するという在り方を大切にしています。
在り方を大切にしているとやり方を超越する動きをとることができます。
お客様をただ単にご案内すればいいというわけでなく、お客様それぞれのニーズを理解した上でご案内ができます。
それこそがお客様それぞれの心に響くおもてなしではないでしょうか。
その時に「仕事」は「志事」へと変化するのです。
失敗から学んだ人間が伝えることは心にしみる
この本のすごいところは、それらの原理原則を今井千尋さん自身の失敗をベースに語られているところです。
人間は誰でも失敗するのですが、そのことから学んだ人間というのは強いですし、わかりやすい話ができると思います。
彼自身はメモを熱心にとるタイプの人間だし、ひょっとしたらそれらのことを心に留めておくだけでなくメモに書き留めていたのかもしれません。そうだとすればなかなかできることではありません。
物事には鮮度というものがあると書かれているのですが、失敗にも鮮度というものがあるんですよね。
失敗というものは放置すれば記憶から薄れていって、失敗したという事実だけが残ってしまうものなのかもしれません。
この本に書かれている彼の失敗は、まるで最近のことのように書かれています。きっと彼は放置することなく失敗から学ぼうとしたから、このように語ることができるのでしょう。尊敬しちゃうな。
この本はすべてのリーダー必読の書だと思う
この本はビジネスに特化しているように思われがちだけど、私はすべてのリーダー必読の書じゃないかなと思うんですよ。
人材育成というと企業研修などで用いられることがほとんどだと思うのですが、育成できるのはビジネスマンだけではないはずです。
教師が読めばクラスや部活動の運営にも応用できるし、学級委員が読めばクラスをまとめる時に使える原理原則だと思うんですよ。
「ここまで書いていいのか?」と思うくらい丁寧に説明されているので、何回も読む価値のある本だと思います。
ぜひご一読してください。
以上、癒着のない掛け値なしの評価でございます。
今井くん、今度会うことがあればこの本持っていくから、サインしてな(笑)。