せっかくの「経験」を「体験」にするな

混同しやすい言葉に「経験」と「体験」があります。
非常に似た言葉ではあるのですが、私は大きく意味が異なると思っています。

だけど最初から大きく意味が異なると思っていたわけではありません。
私が人事担当者として採用面接を担当し、人材紹介業でのコンサルタントとして求職者面談を経験してからこれらの言葉の捉え方が変わったように思います。

私が感じている「経験」と「体験」の違い

私が感じている違いを簡単に言うと、得られるものが何か?ということです。

これらの言葉は「何かの機会」があったというのが共通項ですが、要はその後だと考えています。
そして「体験」の方が「経験」よりもなんとなく浅いように感じています。

「体験」=「何かの機会」から、「結果」「印象的な記憶」を得る

が「体験」だとします。
私としては、この言葉には短期的であり、受動的だと言う印象を持っています。
とりあえず申し込んで参加してみた。そんな感じでしょうか。

そして「経験」の方はこんな感じで考えています。

「経験」=「何かの機会」から、「結果」「印象的な記憶」だけでなく「知識」「考え」「スキル」なども得る

と言った感じでしょうか。
私としては、「体験」よりは長期的であり、能動的な印象を持っています。

あなたの「経験」は本当に「経験」だろうか?

この違いは面接の場では大きな差が出ます。
本人が「経験」のつもりで語っていることでも、聞いている側からすると「体験」なんじゃないの?と思えてしまって、深みを感じないケースが出てきます。

例えば営業職の募集に対して、2名の応募があったとします。いずれも経験者の募集です。

Aさん
「私は営業職として5年間勤務し、その間営業成績では社内トップを維持してきました。」
「それはすごいことですね。どのような取り組みをされてましたか?」
「会社から渡されたリストの企業をまんべんなく営業訪問していました。」
「どのような商品を営業されていたのですか?」
「その時その時の会社で注力していたアイテムを営業していました。」

Bさん
「私は営業職として5年間勤務し、その間営業成績では社内トップを維持してきました。」
「それはすごいことですね。どのような取り組みをされてましたか?」
「会社から渡されたリストの企業をまんべんなく営業訪問してから、注力する企業を把握し、さらに新規開拓をすることでリストをどんどん更新することを心がけていました。」
「どのような商品を営業されていたのですか?」
「顧客企業への販売実績などから判断して、ニーズに合った商品を営業するようにしていました。」

どうでしょうか。この2名ならいずれの方が魅力的でしょうか。
私なら迷わずBさんの方を推します。
なぜなら申しわけないけど、Aさんの方は会社から言われた通りに動いていたらたまたま営業成績が良かった。個人の名前ではなく会社の名前で営業をしていたと見れなくもないですから。
営業は『運』だけではなく、創意工夫などが必要なのですから。


能動的だからこそ「経験」

もちろんAさんだって創意工夫をしていなかったわけではないと思います。
(全くしていなかった可能性もあるけど)

だけど面接という限られた場面では、あのようなアピールでは不足感があります。
せっかくの「経験」を「体験」のように語ってしまうのはもったいないです。

面接でのアピールとは、「結果」だけを語るのではなく、自分が取り組んできたことを話すことです。
「いかに能動的に仕事に取り組んでいたのか?」それを企業は見ているのです。
そのことは、

「今までにした失敗を教えてください」

という質問に現れています。

はっきり言って前の会社での実績は、新しい会社では役に立たないことが多いです。
むしろ「前向きに仕事に取り組んでいたのか?」というところを見たいわけですよ。

なのでこの質問に対しては能動的にチャレンジした失敗談を語るのが正解ですよ。
ただ単にものを知らないから失敗したなんて話は意味がありませんよ。要注意です。

今後面接に挑もうとするのであれば、能動的に知恵を絞って取り組んできた内容を含めた経験を話すようにしましょう。
もしも経験年数が浅かったとしても、そのように話すことで魅力的になります。採用後に成長することを期待させるのです。

そして、そのような経験がないなんてことのないように、頭を使って考えて行動するように心がけましょう。
それが「経験」を積む、「キャリア」を積むということなのです。

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